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隣の彼は目つきが悪い【弱虫ペダル】

第8章 秋は夕暮れ②


「ゴッ!」


荒北の掛け声とともに荒北と巧は腕に力を込めた。
古いテーブルとイスが悲鳴をあげる。



「ハッ!オッサン、、、やるじゃねーのォ!」



荒北はそう言ってニヤリと笑ったが、内心かなりきつかった。



「そう言う君も、、、なかなか強いね」



巧も笑った。
ギリギリと2人の拳はほとんど動かなかった。



「ところで君はどうしてそんなに頑張るの?」


「ハァ??」


荒北の眉がピクリと動いた。


「もしも僕が君だったらさっさと負ける。だって頑張って勝ったところで何の得もない。沙織の為だって言うなら、フリだけだって充分なハズだ。やっぱり説得できなかったとか言ってさ」


巧は意地悪そうに笑った。


「ハッ!!分かってねーな、オッサン!」



“どうして”という巧の質問に荒北は笑った。



「俺がどーいう人間か」



巧に負けず劣らず不敵な笑顔で。



「そーだヨ。その通りだヨ。その方がずっと楽だ。ンなことは最初っから分かってンだヨ!っつーか、そのつもりだったらわざわざこんなトコにテメェを説得しになんか来てねェっつーの!!」



巧は握られた拳に痛みを感じた。



「気持ち悪ぃンだヨ!あの金髪女がしおらしくなってるとこなんて!励ます?慰める?ハァ?めんどくせェ!さっき話聞いてやっただけですでに限界だっつーの!これ以上アイツの為に何かしてやるとかゼッテー御免なんだヨ!!」



荒北の腕が巧の腕を押す。



「だからァ、、、」



巧の額に汗が滲んだ。



「ココで負けるなんて有り得ねェンだヨ!!バァーカ!!!」



「く、、、っ」


巧の手の甲がもう少しでテーブルにつく。
そのすんでのところで巧は耐えた。



「ハッ!根性あるじゃナァイ!オッサン!!」


「はは、、、それはどーも。」



巧は苦しそうに笑った。


あと、少しだ。
あと少しで勝てる、、、!





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