第1章 【海堂悲恋】結局君が、大好きで…
海堂Side
なんであんな奴の言うこと聞いて屋上にきちまったのか…
古いギィッという音を立てながらドアを開けると、女の啜り泣く声が聞こえた。
「誰っ…!?」
その声の持ち主を俺が間違えるわけがねぇ。
結菜…
「俺だ。」
「かい…ど…くんっ??」
「あぁ。」
鼻水を啜りながら俺を確認すると、結菜は子どものように声をあげて泣きはじめた。
「なんで泣いてんだ…」
「海堂くんが…ッ…話しかけてくれた…っ」
「ふんっ…」
どう答えれば良いかわからねぇ俺は、結菜が泣き止むのをただ、入り口の前に立って待っていた。
結菜が落ち着いた頃に、俺は結菜の隣に座った。
「どうして来たの??」
「探してたからだ。」
「私を…?」
「あぁ。」
俺は、
何を恐れていたのか。
フラれることか?
嫌われることか?
同情されることか?
…きっと全部だ。
傷つく事を恐れていたんだ。
アイツが言う通り、俺は意気地なしだった。
けど、
もう迷わねぇ。
桃城がいようと、俺は気持ちに嘘をつくことはしたくねぇ。
「俺は結菜が好きだ。」