• テキストサイズ

一人だけど、独りじゃない

第3章 部活に入ろう


「っっ美月!!!!」
「…何よ」

時は進み、全ての授業が終わった放課後。
場所は、美月を部長とする文芸部の部室。

何時もの様に、部室で選定作業を行っていると、同学年で文芸部の副部長こと、神原秋人が、勢い良く部室へと入って来た。

「どういうことか説明してくれ!」

美月の目の前まで進むと、興奮気味に携帯のディスプレイを押し付ける秋人。

「……あんた、それ、立派な盗撮よ?」
「そのことについては後で謝罪する!そんな事よりも今重要なのはこの子だ!!!!」
「………」

画像を拡大して秋人が指差す場所には…

やっぱり来たわね…

美月と向かい合い、小さなカードを見つめる、茶色の縁のメガネをした在音だった。

「この子が噂の転校生なのか?!」
「…そうよ。」
「なんてことだ!ただ時期的に、少し季節外れな感じはするが、普通のただの転校生だと思ってノーチェックだった!!」

この世の終わりの様に絶望する秋人。
そんな秋人を、凍りつく様な冷たい目で見る美月。

「…ほんと、毎度、毎度。良くそんなに眼鏡に執着出来るわね。あぁ、変態だから当たり前の事だったわね。」
「誰が変態だっ!それよりもだ!話を元に戻すぞ」
「秋人がどうやったら友達が出来るか?についてはだったかしら?」
「違う!!この茶色の縁の眼鏡の子についてだ!!!」

さらっと、話しをそらそうと試みて見た結果、余計面倒くさい事になりそうだったので、早急にルートを変える。

「…私もクラスが違うから知らないわよ、ただ、あの子も異界士なのよ」
「へぇ…また大物妖夢でも来るのか?」
「いいえ、そんな話は聞いてないわ…泉姉様からは、急な家の事情で、林家にお世話になる事になったそうよ」
「林家ってあの呉服屋の?」
「えぇ。」
「家の事情って?」
「知らないわ。」

眼鏡熱が落ち着いて来たのか、少し神妙な面持ちで携帯のディスプレイを見つめる。
そんな秋人を、少し怪訝な表情で見つめる美月。

「秋人、あんた…「何を見てるんだアッキー?」
/ 25ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp