• テキストサイズ

君と並んで歩く未来

第1章 果てなき荒野


先程まではあんなにも賑やかだった店内もお客達が帰り、片付けの音が鳴り響いていた
「そろそろ七輪の火ィ落としてくれ」
城一郎が創真に声をかける。だが、反応はない。創真の隣で皿を洗っていた瀬凪が怪しげに創真を見れば、当人は何か考えているのかグラスを拭きながらボーッとしていた
「…創真?」
今日の勝負であった炒飯の事について振り返っているのだろう。瀬凪は隣でそう考えていた。創真が悩むとしたら大体料理関係だということを彼女は理解していた

「ごめん下さい」
到底客には見えないガタイのいい黒服の男達を引きつれて一人のスーツ姿の女性が入ってきた
「また営業中にお邪魔してしまい恐縮です」
創真が不機嫌そうな顔で接客に向かった。それに対し女性はサングラスを外し、前かがみで胸を強調しながら
「アーバンライフプランナーの峰ヶ崎です」
相手の強調された胸や自己紹介など関係ないという様子で
「ご注文は?」
創真に限って無いだろうとは思いながらも創真の態度に不安を覚えた瀬凪が創真の隣に並び一緒に接待する
「今日のオススメは金目鯛のお造りと「申し訳ありません。本日はですね」
瀬凪の言葉を遮って相手が本題であるであろう話を切り出した
「先日お話ししたプランについて改めて説明したいと思いまして」
その言葉に創真の機嫌が更に悪くなり、瀬凪もはっきりと分かるほどではないが目を軽く細めて視線をきつくした
「ガーデンレジデンスをコンセプトにした都市型マンションをぜひこの町にも実現したいと「あー…要はアンタは地上げ屋でここを立ち退けって話でしょ。こないだ聞いたよ」
今度は創真が峰ヶ崎の言葉を遮った
「帰りな。この店をツブす気は全然無いんで」
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp