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君と並んで歩く未来

第1章 果てなき荒野


「………ッ!」

口に入った瞬間に香る濃厚なミルクの香り。舌の上で溶けながら味覚を刺激する甘み。味は濃厚で贅沢感があるのに飲み込んだあとのサッパリ感。それらはひとつのハーモニーを奏で驚く程に官能的な味を作り上げる。それはまるで天使の羽に包み込まれるかのような柔らかさと軽やかさを持ったかのような感覚だった

「はッ…う…あ、美味しい!」
一瞬違う世界に意識が飛んでいったかのような気分になったが現実に戻ってきた倉瀬は感想を些か叫ぶ様に述べた
「濃厚なミルクの味がするのに後味はサッパリしていていくらでも食べられるよ!」
美味しそうに次々と食べていく倉瀬を見て触発されたのか、見ていた客達も唾をゴクリと飲み込んで見ていた

「ご馳走様でした!」
完食されたグラスに目元を緩める瀬凪。料理人にとって一番嬉しいのは自分が作った料理を美味しそうに食べてもらうこと
「お粗末さまでした」

「でも、瀬凪ちゃん。」
倉瀬が食べきってから数分後、瀬凪の料理に唾を飲んでいた店内は元の賑やかさを取り戻しており、その騒ぎの中瀬凪は皿を洗っていた。そんな瀬凪に話しかける倉瀬
「……?」
どうかしたのかと首を傾げる瀬凪に
「あのジェラート、すっごく味が濃かったのに後味は驚く程サッパリしていたんだ。どうやって……?」
倉瀬の質問に悩んでいた内容に合致がいった瀬凪は ああ、と返した
「あのジェラートには牛乳、生クリーム、練乳、蜂蜜を使って濃厚な甘さを出しているんです」

「でも、そのままだと口直しには重たすぎるから、後味をサッパリさせるためにレモン果汁とミントリキュールを使ったんです」
「ミントリキュール…?」

「名前の通りミントのリキュールですよ」
ミントリキュール__ミントを中性スピリッツに漬け込み、漬けこまれた後に蒸留し、ミントオイルにする。このミントオイルに水やスピリッツ、中性スピリッツを加え、着色したものが
「ミントリキュールです」
詳しくミントリキュールについて説明した瀬凪
「ミントリキュールはミントの鼻をスっと抜ける爽やかな清涼感が特徴」
濃厚なミルクに爽やかな風味をもたせるにはもってこいですよね
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