第1章 果てなき荒野
そんな何でも出来るまさにスーパーウーマン的な存在である瀬凪はよく多くの部活から勧誘されていた。だが、どの部活にも所属しなかった。そのため勧誘には熱が入り二年生までは休み時間になるたびに先輩、同級生達、後輩と多くの人々が瀬凪のクラスに訪れていた。流石に三年生にもなれば勧誘は無いが、今まで最大の譲歩として部活の助っ人は引き受けていた。その為ゆきひらの手伝い自体に来れない時もあった。本人は其れを気にしていたが、城一郎も創真も別に其れを気にしてはいなかった。城一郎曰く「学生でしかできないことは沢山やれ」だそうだ
そんな瀬凪が料理をする。これには客たちもだが、幸平親子も驚いた
「なんだ、瀬凪、料理するのか?」
少々面食らったような顔で祈に問う城一郎。瀬凪はふわりと無表情に柔らかな花を咲かせ
「口直しなので大したものは作りませんが…いいですか?」
律義に店主に確認をとる。城一郎は苦笑い気味で
「わざわざ確認を取ることでもないだろ。構わねぇーよ」
その言葉に笑みを更に柔らかいものにし
「はい」
返事をしたあと、倉瀬に体ごと視線を向け
「倉瀬さん。ちょっとだけ待ってて下さい」
「はい。どうぞ」
そう言い倉瀬の前に出したのはスイーツグラスに盛られた白い山
「これは……アイス?」
倉瀬は頭上に疑問符を浮かべ祈に問うた
「そう。ミルクジェラートです」
口角をほんの少しだけ上げ答えた
「それじゃあ……いただきます。」
スプーンで掬った其れを口に運ぶ。周りは珍しい瀬凪の料理に興味を示しており、じっと見つめている