• テキストサイズ

君と並んで歩く未来

第1章 果てなき荒野


「創真、何してるの…」
冷たい視線プラスジト目である。ここでひとつ。この少女、朝比奈瀬凪について紹介しよう。この少女長い絹のような青みがかった銀髪を項辺りから緩くひとつの三つ編みに纏めており、肌は白磁の様に白く滑らかである。髪と同色の長い睫毛に囲まれた大きな瞳は深い蒼で、さながら星空を丸ごとそこに込めたかのように煌めいている。まるで神の寵愛を一身に受けたかのような想像を絶する美しさ。簡単に言えば超絶美少女なのだ。その超絶美少女がジト目で冷たい視線を送っている。常人であれば耐えられない代物だ。しかし彼女は幼い頃からゆきひらに居候している。つまりその分創真や城一郎とは付き合いが長い。そのため創真にとっては常人には耐えられないその視線も痛くも痒くもない攻撃だということだ

「いやー、いい反応してくれたわー」
少々サディストの片鱗を見せるような言葉を発する創真に溜息を零した瀬凪は視線を城一郎や店内に巡らせたあと少し思案げに顎に手を当て沈黙すると倉瀬に目を向け
「良ければ口直しに何か作りましょうか…?」

この言葉に店内は騒然とした。それは彼女の料理がとてつもなく不味い等というマイナスの意味ではなくむしろプラスの意味である

もともと居候をしている身である瀬凪はゆきひらの業務を率先して手伝っていた。だが、その手伝いも接客や掃除などの雑務等ばかりで、厨房に立ったとしても皿洗いなどばかり。つまり料理をしない。それは城一郎や創真がさせない訳では無いし、瀬凪の料理がゆきひらに出せるような品物ではないという訳でもない。むしろ幸平親子は瀬凪の料理の腕を認めているし、ゆきひらにて客に提供しようとも考えている。瀬凪自身も自身が納得した料理であれば提供したいとは考えているが、その"納得した料理"が瀬凪の場合中々仕上がらない。瀬凪は驚く程に自身に厳しく"ストイック"なのだ。しかも中学に入ってからは人気者の瀬凪は更に忙しくなった。もともとの才能なのか瀬凪は一度見たものや体験したものは忘れないし、卒なくこなす。それは勉学、スポーツ、音楽などジャンル問わず合致することである。勿論料理にも適用する。
/ 50ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp