第10章 11月『王子様の超越』
真田先生が君の方に向き直った。
「…………明日、頑張ろうな、。」
「…………………。」
その言葉に君は少しだけ黙って、
「…………………はい。」
と返事をした。
小さな声だったけど、
君はちゃんと立ち直ったみたいで。
まっすぐ真田先生の目を見て言う
君の姿に嘘は無かった。
「………じゃ、じゃあまた明日な!
ClassXも、もうすぐ下校時刻だから
気をつけて帰れよー。」
真田先生が嬉しそうに笑って教室を出ていった
そうね、もうあと30分で下校時刻だから
片付けないと…………って、
下校時刻!!?
「先生〜ヤバいよ!あと30分しかない!!」
「花紙の装飾が全然終わんない〜!」
せっせと花を作っていた生徒達が
不満の声をあげる。
「ああああ!!すっかり忘れてた!」
「忘れてたとか酷いよ、先生ー。」
「ごめんなさい!!私も手伝うから!!
ほら、全員手伝って!」
慌てて花紙を手にするものの、
悟郎君がやる気のなさそうな声を上げた。
「………え、ゴロちゃん?
ゴロちゃんこれから路上に行かなきゃ
いけないんだけどなぁ〜。
ゴロちゃんのチラシ作りは終わったし……」
「……フン、俺はそんな事など
した事ないしやりたくもない!」
そんな事言ってる場合じゃないのよもう!
こうなったら奥の手!!
「いいから手伝いなさい!
やらなかったら……やらなかったら、
補習に君連れてくるの
禁止にするわよ!!!」
「「「うっ……」」」
皆、補習でたまに君を連れてきて、
答えをこっそり聞きながらプリントやってるの
知ってるんだからね!!!
ちゃんと君に教えてもらいながら
やってるから良いけど!!!!
悔しいけど、
君教え方上手だし……!!
「……みんなでやればすぐ終わるよ。」
そんな私の心の葛藤がある事もつゆ知らず、
君は花紙を1枚1枚広げながら
呟いた。