第1章 クリスマスデート
十二月二十五日、今日はいわゆるクリスマス。この神牙にも冬のお祭りはあるようで、武田領はいつもとは違う賑わいを見せていた。
その喧騒の中、私はちらちらと舞う雪を眺めながら時計を気にしていた。
『遅いな…どうしたんだろ』
クリスマスの特別な時間、二人きりのデートを提案してきた彼の顔を思いながら呟いた。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
「…なあ涼雨、その…ク、クリスマスって空いてるか!?」
『え、うん、空いてるけど…どうしたの?』
「良かったら、その…二人で、一緒に…出掛け…ねぇ…?」
少しずつ小さくなっていく声にぱちりと瞬く。
『それって…もしかして、デートのお誘い?』
「っ、そうだよ!あーもう、行くのか行かないのか、どっちなんだ!?」
顔を真っ赤にして叫ぶ姿に思わず吹き出しながら、最初から決まっていた言葉を口に出した。
『勿論いいよ、一緒に行こう』
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
あんなに嬉しそうにしていたのに、遅刻するとは思えなかった。でも、時計の秒針は回り続けて。
小さくため息を吐いて城へと歩きかけた、その時
「涼雨っ、悪い!待たせた!」
振り向くと、真っ白な息を荒げる姿。駆け寄ると、力強い瞳が私を捉えた。
『ふふ、大丈夫だよ。遅れるなんて珍しいね、何かあった?』
少し心配になって問うと、きっと寒さのせいだけじゃない、真っ赤な顔で何かを取り出した。
「寄らなきゃならない所があったんだ…これ」
差し出された小箱に胸が高鳴る。開けていい?と問うと、恥ずかしそうに笑ってうなずいた。
『わ…綺麗…!』
現れたのは、シンプルながら綺麗な造りの
小さな指輪
「いつも俺のこと好きでいてくれて、ありがとう。これからも一緒にいてくれよな!」
こんな時ばかりどもりもしない、かっこよくて頼りになって、時々可愛らしい、私の
最高の、サンタクロース