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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第4章 思い



「仕方ない、ドローンを使うか」

「30m未満の飛行は禁止されているよ」


え、そうなの?
となれば……


「じゃぁ離れて操縦を…」

「目視できない状態での飛行も禁止されてるよ」


まじかよ、じゃぁ荷物運べないじゃん。




どうしても院長室へこの書類を運びたくないらしいナツ。

そもそもこいつは今からドローンを調達してくるつもりだったのだろうかと、心底呆れた視線をナツへと向けた。

ここまで嫌がるのなら、助けてあげたいとは思うものの赤熊はごめんだ。

それに

昨日書類を抱えて院長室を訪れた時の友人のあの表情。
目に見えてがっかりしたような、少し拗ねているようにも見える彼の様子には正直驚いた。

あんまり感情が表に出ることなんてないのに。

ここ数日、ローが見せるナツへの執着ははっきり言って異常だ。

ローは取り巻きの女とは毛色の違う彼女のことが
そんなに気に入ったのだろうか。

自分の知らない所で、一体彼の心境にどんな変化が起きているというのか
今度飲みに行ったときにでも是非とも聞いてみようと思った。


「かくなる上はリレーでバトンを渡すように素早く……」


何やらブツブツ言いながら書類を素早く手渡す動作を練習しているナツ。

この子は本当に
深刻に悩んでいるんだかふざけているんだか、たまに分からなくなる。

荷物を運ばなければならないタイムリミットは受付開始時間まで。

ご丁寧に時間まで指定してくる辺り、院長も忙しいんだろう。

日中はオペの予約が半年先まで埋まっている。
自分が院長室に居る時間帯にナツを呼ぶとか、どんだけ会いたいんだろうか。


「はぁ、取り合えず行ってくる…」


ナツは傍目で見ていても分かる程、重そうな足取りで受付を後にした。

どうにかしてあげられないものだろうか。

とぼとぼと歩く戦友の後ろ姿をこれから毎日見送るのは、できることなら遠慮したい日課だ。


「院長ってもしかして本気でナツのこと……」


白熊の呟きは誰の耳にも届くことなく、
受付の空気に馴染んでは消えた。

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