Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
当然と言えば当然なのだが
あれだけ大々的に公式文書でご指名を頂いたナツに
看護師達の怒りは最頂点に達していた。
「あの雑用どこ行ったのよ!!」
「身の程知らずにも程があるわ!!さっさと捕まえて看護師長に突きだすのよ!!」
昼休み
ナツはバタバタと自分を探して駆け回る看護師達から隠れるように
物陰を転々としながら身を潜めていた。
休憩室や食堂でなんて過ごそうものなら瞬殺される。
自分を追い求めて駆け回る看護師達の恐ろしい形相に
ナツの背に冷や汗が伝った。
外来患者の多い勤務時間内であれば、彼女達も表だっては色々して来ないようだ。
ベポが睨みを利かせてくれているのもあるんだろうけど。
問題は昼休みだ。
もう昼食を食べるのは諦めた。
捕まらない事だけを第一に考えよう。
同じ場所に留まるのも危険な気がする。
そう思ってそっと自販機の影から立ち上がったナツの肩を、何者かの手が叩いた。
「ぅわぁあぁっ!!?」
「……悪ぃ、驚かせたな。」
The☆END
ナツは自身の肩を掴むその手の感触に捕獲される事を覚悟したものの
振り向き様に視界に入ってきたのはなんとも素敵な女神様。
「追われてんだろ?来いよ。匿ってやる。」
女神様改めシュライヤ医局長はナツの腕を引いて関係者以外立入禁止のプレートの貼られた廊下を進む。
なんでこの人は、いつもいつもこうやって助けてくれるんだろう。
掴まれた腕を握る力は優しくて
無遠慮に人の体を好き勝手に転がすどっかの誰かさんとの違いをひしひしと感じる。
「昼の休憩が終わるまではここに居ろ。戻る時も送って行くから」
「でもシュライヤ先生だって忙しいんじゃ……」
連れて来られたのは内科の医局長室。
整理整頓の行き届いた清潔な空間は病棟から離れていて
看護師達の慌ただしい足音も、自分を罵る声も
ここには聞こえて来なかった。
確かに安全だろう、ここなら。
でもシュライヤに迷惑がかかる。
せっかくの有難い申し出だが、それを断って戦場へと戻ろうとすると
ナツの頭を暖かい温もりが覆った。
「少しくらい俺にも格好付けさせろよ」
そう言ってにかっと笑う彼は
少しどころかとんでもなく格好良い
正真正銘の女神様だった。