Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第7章 分岐
「ペンギン何にする?」
「オムハヤシ」
ちっ。こいつも同居派か。
さすが男の人とでも言うべきか、ペンギンはメニューを見てあっさりと注文を決めた。
ペンギンの分もまとめて注文すると、店員に怪我はもう大丈夫なのかと心配そうに聞かれた。
ははっ。
あんな怪我のせいでとんでもない心の傷を負ったもんだ。
店員に大丈夫ですありがとうと伝えると、ペンギンがそれに食いついてきた。
「なに。あの強盗騒ぎの現場はここなわけ?」
「えー、あー。まぁ……」
「格好良かったんですよー!あら?そういえばあの時のお医者のお兄さんは今日は一緒じゃないんですか?」
おい、店員。
確かにペンギンは彼氏でもないさ。
あぁ。そうだよ。
これは奢って貰う為のデートであり
私達が今一緒に食事してるのも、
本当のデートでもそんな関係でもないわ!!
だがな
「お医者ってもしかして背ぇ高くて黒髪で目付き悪いヤツっすか?」
「そうですー!イケメンのお医者様!!刺されそうになってたのをこちらのお姉さんが庇われて」
「へぇ」
男女で食事に来てるこの状況で
違う相手の情報をこうペラペラ喋るとは
頼むからこれ以上私の気苦労を増やしてくれるな
その後も暫く、ペンギンは店員と楽しそうに会話を交わしていた。
「ナツ院長の事庇ったんだ。へーぇ」
ほら見ろ。
こうなるじゃねぇか。
頬杖を付きながら顔を覗き込んでくるペンギンは、相変わらず表情からは感情があまり読み取れない。
生憎今の私には聞こえないふりを自然に演出する最強のツールである携帯も手元にない。
しかも先日のあの一件もある。
ローと関連のある話を、ペンギンにはしずらい。
「あれは……庇ったっていうか。元々狙われたのが私のせいというべきか……」
「そもそもなんで一緒に飯なんて食ってたの」
違う。
一緒に飯など食っていない。
とぼけた顔をしているこの人は、恐らくとことん色々な部分を勘違いしている。
……違うんだけど
説明すんのも面倒臭い。
頭を抱えてため息を付いたナツを、ペンギンが少し目を細めて眺めていた。