第5章 ♡甘い快楽と苦い花
「お待たせしました...!」
扉をあけると、そこにはいつも通りの笑顔の羊がいた。
『ううん!全然大丈夫!
そんなことより窓拭きお疲れ様!
すっごく綺麗になっててびっくりしちゃったよ!』
「そんな......ありがとうございます...!」
羊と会話をしていると、
めるの部屋からひょっこり花臣が顔を出した。
『ひーちゃん♪やほー!』
『ん?ああれっ!?
なんではながめるちゃんの部屋にいるのっ!?』
(......?はな...?
しかも...あれ?...タメ口...?)
いくら仲良しと言っても立場的に
こんなにフランクでいいのだろうか...と
一瞬不思議に思ったが
気さくな花臣のことだ。
これくらいの距離感の方が彼は嬉しいのかもしれない。
『なんでって...めるちゃんと色々してたから♪
ベッドのう・え・で♡
ね?めるちゃん?』
「えぇっ!!!」
驚き声をあげるめるの頬に
花臣はちゅっとキスを落す。
「ちょ、ちょちょちょっと!花臣さん...!」
慌てて身体を離し羊の方を見ると
真っ赤な顔をした彼と目が合った。
『え、え!え!?
え、ちょ、ふたりって、
そ、そそそそういう...!?』
『そうそう♪
もうあーんなことやこーんなことまで...』
「ちっちがいます!!私は...!」
一生懸命否定をしようと首を振るが
軽くパニック状態を起こしている羊に
その思いは伝わらない。
『だめだよめるちゃん!
はなはやめときなって!
はなだったら、まだ俺の方がいいと思うっ!』
『うわ!ひーちゃんひどい!
絶対僕の方がいいよ!ね!めるちゃん!』
『そんなことない!
めるちゃんとは絶対に俺の方が仲良しだもん!
ねー!めるちゃん!』
『えぇ?めるちゃんとの仲の良さで
僕に勝てると思ってるの?
身の程知らずもいいところだよ!
ねーー!めるちゃん!』
「え?え?」
2人に挟まれ、困惑に目を瞬かせる。
仮にも主従関係なのに
こんなに好き勝手言い合って、
いくらなんでも仲良しすぎるのではないか。