第5章 ♡甘い快楽と苦い花
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ちゅっちゅっ、ちゅっ...
「あ、あの...花臣さ...」
『んー?...ちゅっ、ちゅっ...』
「ん...んん...」
いつもは事を済ませると
さっさと帰って行ってしまうのに
なぜか今日はベッドの上で抱き締められ、
離してもらえない。
そればかりか、終わってからずっと
甘く優しいキスの嵐で抵抗するにもしきれない。
「あ、の...ん...どう、されたんですか...?」
『ちゅっ、ちゅっ...なにがー?』
「今日は、なんだかその...いつもと、ん...
ちがう、というか...
いつもは...すぐ、帰られるのに...」
『んー?ちゅっ、...こういうの、いや?』
「い、や...では、ん...ない...ですが...」
『じゃあ、いいでしょ?...ふふっ
大人しく、して...ちゅっちゅっ』
「ん...んう...で、も...ん...」
『はぁ...可愛い...
またシたくなってきちゃうな...ちゅっちゅっ』
「え!...そ、れは...ん、こまりま...す」
『えー、どうして...?
大丈夫だって...また優しくしてあげるから...』
そう言って花臣が耳に唇を寄せた時だった。
ーコンコンコン
『.........』
「あ、の...ドアが...」
めるが安心したように花臣を見ると
彼は心底不機嫌そうに眉を寄せ、
ぷくっと頬を膨らませる。
『...はぁーあ......。
なんか僕、ドアのノック音によく邪魔されるよね...』
花臣は大きく溜息をつきながら
ベッドから降りると
しぶしぶと服を着はじめる。
それを見て、めるも急いで
脱ぎ捨てられたメイド服を掻き集めると
大きな声で扉の向こうにいるであろう人物に言葉をかけた。
「あ!す、すみません...!
ちょっとだけ、お待ちいただけますか...!」
すると、あのお日様のような、
聞きなれた声が聞こえてくる。
『あ!ごめんね!お取り込み中だった?
待ってるから、急がなくていいからね!』