第3章 ♡抗えない身体
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『ねぇねぇ、めるちゃんて
なんでここのメイドさんになったの?』
コトを済ませ、
先ほど脱ぎ捨てたズボンのベルトを
しめながら、花臣が問いかける。
「え...そ、それは...」
めるはメイド服に袖を通しながら
どう答えるものかと思案する。
『月にぃが拾ってきたってのは知ってるけど...
その成り行きは、僕知らなくて』
「えっと...簡単に言うと、
私がご主人様...
月臣さん、の、乗っている車の前に
飛び込んでしまって...
それで気を失ってしまったところを
このお屋敷で介抱していただいたんです」
『え!?飛び込み!?介抱!?』
「は、はい...」
花臣は驚いた顔をしてこちらに目をやる。
『月にぃが介抱するなんて、
よっぽどめるちゃんのことがタイプだったんだね~
まぁ、気持ちはわかるけど♪
それにそれに、飛び込みって...なぁにそれ?
めるちゃん自殺しようとしてたの?』
「あ...!えと、それは、事故です」
『なんだ、びっくりした...』
「すみません、言葉足らずで...」
『そんなことは全然いいよ~!
うーん......あれ?でも、
それでなんでここのメイドさんに?
介抱のお礼をしろー!って
月にぃに強要でもされちゃった?』
「えっと...提案はされました。
でも、ここで働くことを決めたのは私です」
『あれ?そうなんだ?
なんでなんでー?』
「うーんと、...その...
まぁ...色々あって.........」
少しの間沈黙が流れる。
『......うーん、
やっぱりよく分からないけど、
色々事情がありそうだね?
まぁ、何かしら事情がある人なんだろうなぁ、とは
最初から思ってたし』
「え、そうなんですか...?」
『............れるかなっとか...』
「え?」
花臣が一瞬深刻そうな顔をして
何かをぼそりと呟いたが、
めるにはよく聞き取れなかった。
「花臣さ...」
『なんでもなーいよっ♪』
もう1度聞き返そうとしためるの言葉を遮り、
すぐにいつもの調子でニコニコと笑う。