第7章 ♡月と雪と日陰の花と、日向の花
「羊さんは本当に強い方なんですね...」
『え?なんで?』
きょとんとした顔で聞き返される。
その反応に、本当にすごい人だと
尊敬の気持ちを感じながら
めるは小さく笑って言う。
「前に花臣さんが、羊さんのことを
ずっと、太陽みたいに思ってたって言っていたのですが......きっと、本当に花臣さんにとって、羊さんは太陽みたいな、必要不可欠な存在だったんですね」
『...え?そんなこと言ってたの?』
「はい。花臣さんと私の2人で、
羊さんはまるで太陽みたいな方ですよねって
お話をしたことがありました。」
『え!?てことは、めるちゃんも!?』
「...?わたしも、とは...?」
めるが不思議そうに首を傾げると、
羊は慌てたようにぶんぶんと頭を振る。
『あ!いや!違う!違うよ!
めるちゃんもそう思ってくれてたのかなって
一瞬!ほんと一瞬!思っただけ!
はなの話を聞いてたってことだよね!』
そう言うと、1人で納得したように
羊はうんうん、と首を縦に振る。
「.........?
私ももちろんそう思っていますし...
それに、もとは私から
花臣さんに振った話題だったのですが...」
『ええ!!?』
めるの言葉を聞いて
羊は顔を真っ赤にして驚く。
「?」
『え、あ、いや...その、なんでも!
なんでもない!
そんな...えと…そっか、そっかぁ......』
羊はわたわたと落ち着きのない素振りをしながら
なんだか嬉しそうに口元を緩める。
「......羊さん?」
『あ!いや!
.........でも、でも、そっか。
はな、俺のこと
そんな風に言ってくれてたんだね』
「はい!お2人は、その施設の皆さんの中でも
特に仲良しだったんですか?」
『ん?まぁ、そうだね。
はなってあんな感じでしょ?
だから誰とも基本的には
仲良くやってはいたんだけど...
本質的な部分を見せてくれたのは
たぶん、俺にだけだと思う。
......それでも、本当にすこーしだけだけどね。』