第7章 ♡月と雪と日陰の花と、日向の花
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次の日、2人で一緒に仕事をしている羊に、
めるはこっそりと話しかけた。
「あの......実は昨日...花臣さんの方から、
色々とお話聞きました...。
この間は、私...話しずらいことを
羊さんに沢山ずけずけと聞いてしまって...
本当にすみませんでした。」
ぺこりと頭をさげると、
頭上から不思議そうな声が聞こえてくる。
『...え?なに?はなからめるちゃんに
そういう話をしてきたの?』
「あ、はい...ちょっと、色々あって...
羊さんと花臣さんが仲良しな理由も聞きました。
花臣さんはともかく...
羊さんがそんな苦労をされていたなんて、
正直...驚きましたけど...」
『そう、なんだ...。
はな、本当にめるちゃんには
すごく心を開いてるんだね』
「や、そんな......」
『ふふっ、あ...あと、はなから俺の育ちを聞いて
びっくりしたかもしれないけど、
でも、俺はそのことは全然気にしてない...
というか、本当に苦労もなにもないっていうか…』
「...?どういうことですか...?」
羊の言葉に、
めるは不思議そうに首を傾げる。
『はなと違って俺は、
もう記憶もないくらい小さな頃から
その施設にいたんだ。
だから、特になにも苦労も不自由もなく
むしろ沢山の親や兄弟と毎日を過ごしている気分で...
めちゃくちゃ幸せに育ってるんだよね』
「.........?」
めるはその言葉を聞いて
また不思議そうに首を傾げる。
『あれ?どうしたの?』
「あ、いえ......」
普通なら、本当の親のもとでなく、
そういう施設で育っている...というだけでも
自分は不幸だと思う人の方が大半なはずだ。
それなのに、羊は本当になんでもないことのように
明るく話をしてくれる。