第6章 ♡飼い主不在のペットには
『......と、いうと?』
『今日はまだ、花ちゃんには譲ってあげなきゃと思えるほどの所有欲だけど、
それがいつまでかはわからない...ってこと』
『........なるほど、“今日は”ってことは
それは明日かもしれないわけね』
『ふふっ、ご名答。
会えない夜は愛を育てるから。
......まぁ、これも例えばの話、ね』
にこっと爽やかに微笑む凌を見て
少し苦しげに眉を寄せた花臣だったが
すぐに笑顔になり彼に向きなおる。
『心得ておくよ。
...それじゃ、悪いけど
今日は譲ってもらっちゃうね♪』
言うと、ひょこっと扉の外から
中の様子を伺いに顔を出す。
『めるちゃーん!お迎えにきたよ!
さっと着替えて早く出てきてー!』
「え...っ!あ、ああの...」
(もしかして、助けてくれた...?)
今の状況がいまいち掴みきれず
ぼーっとしてしまうめるに、
花臣が『早く早く』と急かし立てる。
ちらりと凌の様子を伺うと
少し困ったように、にこっと笑われた。
(止めないってことは......
本当に着替えて出て行ってもいい...のかな?)
そう判断しためるは
いそいそと着替え始める。
ーそして、最後にエプロンをつけはじめると、
扉の前でじっとしていた凌が
ゆっくりと近づいてきた。
「あ...し、のぐさ......今回は...」
『今回は身を引く。
けど、近い将来......
必ず君を、僕のものにする』
「.........え?」
『まぁ、待っててよ。
またすぐに会いに来る。
沢山のお土産とサプライズをもってね。
............それから...』
凌はちらりと花臣を一瞥し、
にっこりとめるに向き直る。
『助かった、なんて思わない方がいいよ...?
これからもっとすごい地獄が待っているはずだから。
今君をここで解放してあげるのも、
このあとめちゃくちゃにされちゃう君を
想像するのもまた一興...
って、思ったからだしね』
「...え、そ、れは...どういう...」
『めるちゃんー!』
『ほら、花ちゃんが呼んでるよ?
可哀想だけど、いってらっしゃい。
エッチで可愛い、ド淫乱メイドさん♪』