第6章 ♡飼い主不在のペットには
『でも、大事ないいつけをほっぽってまで
“その子”に会いに来ちゃっていいの?
確か今、親御さんがいなくて
とっても忙しいって聞いてるよ?
そのご近所の子どもさんは。』
『どんなに大事ないいつけがあったとしても、
大人と違って感情で動いちゃいがちなんだよねー、子供って。
......なにせその子どもは、“その子”のこと
結構本気で大好きだったりするかもしれないって話だし...ね?』
一瞬力強い瞳をした花臣だったが、
すぐにおどけたように笑う。
『.........は?』
『ふふっ、あくまで例え話ね』
やはりたまにではあるが
今までの言動がただの悪戯ではないことを物語る、強い瞳の色をチラつかせる花臣に
凌はヤレヤレと肩をすぼめた。
『...............はぁ...
あーもう...わかった、わかりました。
......飼い主様より面倒なのがいたか......』
『ふふっ、しのにぃはなんだかんだ優しいから助かるな♪
ある意味女性により男性への方が優しかったりするよね。女性に対しては裏ありまくりだし』
『女性に対しては何をしても、
この顔と甘い言葉さえあればなんでも許されるから、僕。
僕を恋愛対象としない男性の方が
恨まれるようなことがあった時
カバーできなくて怖いんだよ。
.........特に、花ちゃんみたいな仮面天使は恐ろしすぎる』
『とか言っちゃって......自分より思いが強そうな人には譲ってあげなきゃっていう
本当にただの優しさでしょ?
時環の血筋はなんだかんだ皆根が優しいから』
『.........まぁ、否定はしないけど…
...でも、あんまり油断はしない方がいいかもね。
これはまだ、仮、だから』
『......どういうこと?』
『まぁ、僕は花ちゃんみたいに頭は回らないからはっきり言うけど、今日彼女とこうして会っていたのは彼女の魅力を再確認するため。
そして、その確認の結果は、
そりゃあもう最高のものだったよ。』