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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第14章 傷跡




「その溜息、何……?」


一応、顔には笑顔を乗せているつもりだが、ハンネスの態度に少しイラッときたエミリの頬は引きつっていた。


「……カルラと違ってお前はよく町で暴れてたと思ってよ」

「ちょっ……!!」


昔の話を持ち出され、エミリは思わず机をバンと叩いて立ち上がる。
よりにもよってエルヴィンやリヴァイらの居る前で小さい頃の話を暴露されるなど思っていなかったからだ。


「ほう……その話、興味あるな」

「兵長! 興味持たないで下さい!!」


ほら見ろとエミリはハンネスを睨みつけるが、彼はそれを無視して酒を飲みながら口を開く。


「弟のエレンとその友達のアルミンが、よく近所のガキ大将共にいじめられることが多くてなァ……」

「ちょっと! ハンネスさん!!」

「ボコボコにされる二人を見つける度に、そのガキ共に蹴り入れるわ平手打ち決め込むわ……更に憲兵沙汰になれば、一通り謝った後はそいつら全員座らせて説教、そりゃあもう派手にぶちかましてたなァ」


エミリは顔を真っ赤にさせながら机に突っ伏した。可愛いエレンとアルミンのためとは言え、こうして上司の前で暴露されると恥ずかしくて仕方がない。


「お前、そんな事やってたのか」

「だって……だって! 弟達がボコボコにされてるのに我慢できません!!」


机に顔を伏せたままエミリは声を張り上げる。そんな彼女の目の淵には羞恥から涙が溢れていた。
顔を伏せているため周りはそれが見えないが、エミリの様子を見ていれば何となく想像がついた。


「そんなエミリに怖気づいたそのガキ共は、いつからかこいつが助けに参上した時には、『エレンの姉ちゃんだ〜!! 逃げろぉぉおお!』とか言って怖がられてたよな」

「…………ねぇ、ホントにいい加減やめて」


まだお喋りをやめないハンネスに、エミリは顔を伏せながら懇願する。
これ以上、黒歴史並の過去を暴露されたら暫く恥ずかしすぎて顔を合わせられない。

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