第8章 永劫のほし/ジョセフ
「この光みたいなものを見て、スピードワゴンは、でも、すこしも喜んでくれなかったよ。わるい力じゃないとはいってた、おばあちゃんも…」
「 … 」わたしにはこの才能がなんなのか、まったくわからなかったけれど、そのふたりがどんな顔をしたのかは、痛いほど、よくわかってしまった。
ちいさなころ、お小遣いを母に差し出したときのことをよく覚えているのだ―――母の、このうえなく傷ついた顔を。
わるい力じゃないなどというそんなことばには、ジョジョにとって、すこしの効果もなかったのだ。
「 … 」
わたしはジョジョの手をとった。奇蹟を起こすその手を。
「主の両親は、息子に大工になって、じぶんたちのいうことをおとなしく聞いてほしかったはずよ。でも、彼は救い主だった」
「…なんで、神の話なんか」
ジョジョのおおきな瞳から涙が落ちる。
ジョジョは奇蹟を起こさずにはいないだろう、家族を悲しませることになっても、助けつづけるにきまっているのだ。
「…そうだね、神は家族を裏切った」
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ジョセフはワゴンとエリナのちいさなキリストです
ワゴンがハイジャックされ、ジョセフの波紋の力をしった後日のお話でした
ワゴンとエリナはそれを目の当たりにするとジョナサンやツェペリさん、リサリサの人生のことなどをおもって心中穏やかではなかったようですが、ジョセフもまた妙な罪悪感のようなものをもってしまい、家族を愛したい気持と怖がられたくない気持とで憂鬱になったままオルガンを弾いていました