第8章 永劫のほし/ジョセフ
わたしはジョジョに駆け寄ろうとした。しかしそのとき、オルガンのうえの花が奇妙に生き生きして見え、ドキリとする。こんな鮮明で瑞瑞しい花が、活けてあったのだったか。
その視線に気づき、ジョジョはオルガンの椅子から立ち上がると、「女性名、手、出して」と、わたしの左手を求めた。それはきのう、アイロンで火傷していた手だったけれど、わたしはおずおずと差し出す。
それに重ねられたジョジョの手は、やはりたしかに、光を帯びているのだった。
「ジョジョ…」
ふたたび解放された左手には、火傷の痕は夢のように消えていた。
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本文中になまえが出てきませんでしたが、2曲めの民謡は「The Leaving of Liverpool」といい、カリフォルニアへ長い長い旅に出航しようとする男が、リヴァプールとそこにいる最愛のひとを想う歌詞です
すごく長い曲で和訳を示すとわけがわからなくなるので割愛しますが、1曲め「Dance to your daddy」は短いので、この章の最後のページに全文を引用して和訳もつけようとおもいます
テンポが早く韻の心地よい曲で、漁父が子と遊んでいる歌詞です
お気づきのとおり、どちらも大西洋をまたいで仕事するワゴンとイギリスで待つジョセフをイメージして選曲しました