第46章 夢に囚われて ~一松王子~
あ……えっと何だっけ……?
ヒナ死んだの?
ガラスの棺を覗き込むと確かにヒナだった。
眠ってるように見えるけど……
白雪姫ってどんな話だっけ?
俺……
全然、知らねーし……
*カサ……
再び手元に恐怖の感触が現る
恐る恐る手に現れた紙を覗き込む……
俺……こんな臭い台詞吐いたら本気で死ぬかも……
でもやんないといけないんだろっ!!!
クソが!!!
俺はガラスの棺をそっと開けた。
「ジョー……ジョー……」
「…お、おお……
な、なんと気高く美しき姫よ…私の運命の人…
な…なぜ、こんなことに……
せめてもの慰みにわ…私のく、…くく…
口づけをっ!!!」
ヒナに顔を近づけ、そっと唇を重ねた。
……起きねーし……
いいや……もう一回しちゃおう
俺は今度は深く、もっと深く口づけを交わした。
起きろよ、早く……
そうしねーと……好き放題すんぞ……
舌を奥まで突っ込んじゃうと何かの感触に当たる。
それは俺の口の中にも入り込んだかと思うと氷のようにあっという間に溶けてなくなった。
そして、ヒナはまるで息を吹き返したように吐息を吐いた
「……は…っ…、
一松……
さっき……さっきの……もっかい言って?」
いつものこいつだ。
ヒナは俺を見ながら笑顔を見せた。
「……死んでも嫌だね」