第21章 鬼兵隊編
「ーーーーーいや、だっ、……………ッ」
思わず声を上げて体を起こす。
真っ暗だった世界は明るくなり、
俺は布団に触れた。
「……はぁ……はぁ…ッ、」
布団をはいでどける。
その時、左手にちくりと痛みが走った。
何故か、点滴がうたれており、
黄色の液体が管を伝っている。
「…っ……はぁ…。」
周りは
神威の部屋でも、柳生家の屋敷でもない、
和風な一室。
垣間見える窓からは青空が写っている。
………ここは、一体……
「………………どこ…だ…?」
「………あ、起きたッスか?」
上がった息を整えると、
部屋の隅に、人影を感じた。
そちらの方を見ると、
金髪の女が俺を呆れた目で見ている。
「だいぶうなされてたッスね。
なんか嫌な夢でも見たんスか?」
こいつ、どこかで、見たことがある。
誰だっけな。つい最近、指名手配で………。
「らい…じま……?」
「ーー様を呼んでくるッス。
動いちゃダメッスよ。」
「…………、え……だれ…って?」
俺が女の名を呟くと、
女は俺の言葉を遮るように俺に呼びかけ、
部屋を去っていく。
俺の小さな質問も聞こえなかったようで
そのまま部屋を出て行った。
部屋にまた静寂が包み、
先程の行為が頭をよぎった。
『澪、挿れるよ。』
「……ッ、……にげ、なきゃ……ッ。」
頭の中ではまだ神威が微笑んでいる。
もしかしたら、どこかにいるかもしれない。
「く、る…な…!」
俺は点滴を無理やり抜いて立ち上がった。
頭がクラクラして、目眩がする。
だが、止まっていられない。
今すぐ、ここから、逃げ出さないと。