第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
チラリと振り返ると
まだ寝呆けた顔のまま
「変わった事?なんや?思い当たらん
ちゅーか、サクラがどう変わっても
俺はアイツが好きやし
別に変わらんやろ
嫌われたら凹むけど
諦めれんねやったら
突き進むしかないしなー…」
恥ずかしがる事もなく
サラリと返してくる
こりゃサクラが
困惑するのも無理ないわな
あんな事が夢みたいに
いつも通りや
俺かて夢やったんちゃうかって
思ってまう
でも…
「…そっちこそ、姫凪どや?
あんま無茶してへんやろな
お前スイッチ入ったら
満腹なるまで食い散らかすし…」
「お、教えたらんわ!ボケ!
それに治(オマエ)にだけは
言われたないんじゃー!
この万年腹ぺこの性欲お化けがーー!」
ヤッパリ夢ちゃうねん
昨日の二人は姫凪は
俺に変やった
俺だけを拒否ってん
"お前から聞いたんやろが"って
怒鳴り声を背中に受けながら
ダッシュする
いつもの通学路