第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
治の声を無視して
"姫凪は渡さん"って
小さく呟くも
限界ギリギリやった治は
布団に潜り込んだまま
夢へ入ろうとしてて
聞こえてへんみたいやった
…フン。
ほんまキマらんなぁ。
自分の部屋に戻り
ゴロリとベットに横たわる
携帯をチェックするものの
姫凪からのメッセージは
来ていない
「…俺が"タダイマ"って送るべきか?
でも…な…」
遅くなり過ぎたタイミングに
なんとなくキッカケを掴めないまま
時間だけが過ぎて行く
スクロールするLINEのトーク画面
姫凪より少し下には
【サクラ】
さっきまで皆で居ったし
ほぼ毎日会うし話すのに
カナリ前に止まってしまった日付が
やたら懐かしく思えて
指でソッとタップする
トーク内容は
姫凪が見たら引かれそうな程
大量の口説き文句
まさかコレ見られたんか?!
って!いつ見ンねん!
セルフツッコミに吐いた溜息が
画面を曇らせた、その時
[起きてる?侑くん]
まさかの新着メッセージが
日付を更新した