第6章 新しい命と失われた命
もうすでに、九尾はクシナさんの中から引きずり出されていた。
ということは...
『クシナさんは..もう、』
私は近くにあった木を力いっぱい叩き、唇を噛み締めた。
口の中に血の味が広がるが、そんなものは気にならなかった。
私は出てきた涙を振り払うかのようにバッと顔をあげて、二人のところへ走った。
しばらくすると、少し広い場所に出た。
そこにはよく知った顔の二人が何かを話していた。
『...っ!ミナトさんっ!クシナさんっ!』
私は精一杯叫び、二人に気づいてもらえるように駆け寄ろうとした..が、結界が張ってあり、近くに行けなかった。
私の声に気づいたらしい二人は驚いたように目を見開いた。
!..そうだ!確か、ミナトさんの背中に飛雷神の術式を刻んでおいたはず!
急いで二人の元へ飛ぼうとすると、
「来るな!!ツバキ!!」
中にいる、ミナトさんから大声で叫ばれた。
『..で、でも』
「君が来ても状況は変わらない!!いいから来るな!!」
ミナトさんは必死になって私に向かって叫んでいる。
『でも..っ...でも...っ、ううっ』
私は結界に手をつき、ミナトさんたちの方を見ながら崩れ落ちた。
涙が..頬を伝う。
そんな、私の様子に気づいたクシナさんは苦しそうな顔をしながら安心させるように私に優しく微笑みかけてきた。
ミナトさんは私とクシナさんを一瞥すると、何かの印を結んだ。
恐らく...屍鬼封尽
やだ...やだよ..
死なないで...
私はふるふると顔を振り、嫌だ嫌だと涙を流した。
その間にも、ミナトさんは自分に九尾を半分封印し、自分の子である、ナルトに九尾を封印しようと準備をし始める。
クシナさんは限界が近いようで少しだけよろけた。
それを、心配したミナトさんがクシナさんに駆け寄る..
クシナさんの力の緩みを...九尾が見逃すはずもなく..
『ミナトさん!クシナさん!』
叫んだときには...
ミナトさんとクシナさんは九尾の大きな爪に..
貫かれていた。