第11章 管理人と特訓
「...この事に関しては説明が難しいので..」
そう言うと、アズサは私の頬に手を伸ばし、額をくっつけてきた。
『?』
「私の記憶を流し込みます..」
『っ!!!』
そう言ったかと思うと、急にたくさんの情報と記憶が流れ込んできた。
これは.....
しばらくすると、アズサは静かに離れて大丈夫ですか?と声をかけてきた。
額を片手で押さえながら情報を整理する。
どうやら、豊雲野(トヨクモノ)は、私自身に使うときは何故だか分からないが異常は全くないし、視力も全く下がらないらしい。
だが、他人に使うとなると色々と不都合が生じるらしい。
まず一つめは視力の低下。
神皇産霊(カミムスヒノ)よりも視力の低下が激しいらしい。
まあ、それは何となく分かっていたことだが...
そして、もう一つは...他人に豊雲野(トヨクモノ)を使っても、絶対にすぐには起きないということ。
治した人物の身体の状態にもよるらしいのだが..基本はその人物が治るはずだったまでの期間は目を覚まさないらしい。
つまり...その怪我が、全治1週間であれば、1週間後に目を覚ます。
全治1ヶ月であれば、1ヶ月後に目を覚ます。
瀕死の怪我であれば...いつ目を覚ますか分からない。死ぬまで目を覚まさない可能性もあるということだ。
では...何故シスイは目を覚ましたのか、
それは...
『...アズサだったのね..』
「はい、黙っていてすみません」
先程流れ込んできた情報とは別の、アズサの“記憶”で分かった。
どうやら、私が影分身を出し忘れた日。
つまり、シスイが目を覚ました日に、アズサは1度あの隠れ家に来ていたらしい。
そして、何らかの力を遣いシスイの目を覚まさせた。
それも、衰えのない元気な身体で..
何というか..
チートだな...