第11章 管理人と特訓
「アズサ?」
私がポツリと呟いた言葉をシスイが繰り返すように言った。
『うん...頭の中に浮かんできたの..この名前が』
何故だろうと思い、チラッと男の人を見ると、これでもかというほど目を見開き、固まっていた。
『...アズサって名前..嫌?』
固まったまま何も言わない男の人に、不安になり、首を傾げて聞いた。
「.....いえ、嫌ではありません!」
手をブンブン横に振って必死に否定する男の人の反応をみて、ホッと息をつく。
『それじゃあ...今日から貴方の名前は..“アズサ”』
「はい...素敵な名前をありがとうございます、ツバキ様」
何故か泣きそうな顔でそう言ってくるアズサに、小さく首を縦に振る。
『それと、“様”はつけないで、ツバキって呼んで?』
何だかむず痒いから...
「ああ、俺もシスイでいい」
アズサはそう言った私たちの顔を静かに見つめ、嬉しそうに笑った。
「はい...これから、よろしくお願いします。ツバキ、シスイ」