第10章 暗い月夜
「俺が殺される理由は...まっ、お前なら言わなくても分かるよな」
『...』
一人でも、うちは一族の死体がなかったら一族抹殺計画が全て無駄になってしまうから...か、
コクンと頷く私にいつものように笑いかけながらメズは言った。
「...今日が、俺の最後の日だ、だから..お前に気持ちを打ち明けておこうと思ってな」
『...私はーー』
「返事はいらねーっていったろ?」
私の言葉を遮るようにメズが顔を近づけてきた。
「ずっと、好きだった..お前が暗部に入ったときからな...」
そんな前から...
「お前と仲良くなれて良かった、欲を言えば、恋人になりたかったんだがな?」
おちゃらけたように言うメズに視界が霞む。
「...いつもクールで冷静なうちはツバキの泣き顔を見れるなんて、俺は贅沢なやつだな..」
『っ..何言って..』
「なあ、ツバキ」
『...?』
「..俺は、最後に見た好きな女の顔が...泣き顔なんて嫌だぞ」
『!』
涙を拭い、私より高い位置にあるメズの顔をみて、
優しく、微笑んだ。
「フッ、..綺麗だ」
「ありがとな、ツバキ」
そう言うと、メズは私の額に口づけをし、背を向けた。
「俺を助けよう、なんて、思うなよ」
『!、』
『...ごめんなさい..ごめんなさい、メズ』
私は、その場に泣き崩れた。