第6章 ★薫の秘め事(~P83)
その日はあまり眠ることができず、翌日はひどい顔だった
対照的に恭子は生き生きとしており、何だかそれが腹立たしい
薫は恭子を避けるように庭を掃除していると
「薫、奏月様の部屋の掃き掃除をしてちょうだい」
不意に菊から声がかかる
それを聞いた周りの使用人がざわつく
「菊様…私は…」
「いいから行きなさい。命令よ」
「かしこまりました」
薫が乗り気じゃないのを見て、周りにいた使用人達が自分が行きたいと声を上げるが
菊に睨まれてすぐに自分の持ち場に戻っていった
…なんで、私なの
薫の気は重い
客人の二人は部屋の掃除はいらないと断り続けていたのだ
なのになぜ、ここへきて掃除等と…
薫は恐る恐る奏月の部屋へ向かった
「失礼します…」
やや小声で襖を開けるが、そこに奏月の姿は無い
ほっとしたのもつかの間
「やっと会えました」
そんな声と共に後ろから抱きしめられていた
「薫さん」
「…っ!?」
この声は間違いない、奏月だ
その腕から逃れようともがくが、結局奏月の部屋に入ってしまう
襖が閉められ、部屋に二人きり
薫は奏月に振り向かされ、向かい合っていた
「薫さん、何故私を避けるのですか」
そう言ってまた薫を抱きしめる