第6章 ★薫の秘め事(~P83)
それから二日後
薫はなるべく奏月に関わらないようにしていた
彼の姿を見るだけであの大きなモノを思い出してしまい、恥ずかしさにかられてしまう
そんな自分が嫌だった
夕食を食べ終え湯を浴び、あとは寝る準備をするだけ
部屋に戻ろうとしていた薫は廊下の先に恭子の姿を見つけた
普段なら無視をするのだが、キョロキョロと辺りを警戒している様子は何だか怪しい
声をかけるか悩み、結局こっそり後をつけることにした
恭子がピタリと足を止めたのは奏月の部屋だった
…ま、まさか!?
思わず息を飲む
すると恭子がこちらに気づいたが、焦る様子は無い
笑顔を見せて唇の前に人差し指を立てる
『皆には内緒ね』
そう言っているようだった
もう夜も遅い
こんな時間に女が男の部屋を訪ねる理由は…
「奏月様、恭子です」
甘ったるい声がして薫は踵を返す
心臓が掴まれたように苦しかった
恭子と…奏月さんが!?
「い、嫌だ…」
薫は自分の部屋へ戻ってくると泣き崩れる
奏月が恭子を抱く
考えただけで苦しい
なんで…私…!
涙の理由はただ一つ
私は…奏月さんのこと…?
すぐに頭を振る
そんなわけ無いと自分に言い聞かせる
顔を見たのも言葉を交わしたのも数回だ
それなのに惚れるなんて、ありえない