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【黒バス】幼馴染み。【赤司】

第4章 04


 少しの間だけ暑さに耐えることにして、大容量の冷蔵庫から目当ての麦茶を手に取った。
ひんやり、冷えたポットが暑さに参っていた私を癒してくれる。
棚から適当に選んだグラスに冷えた麦茶を注ぎ、待ち切れずに早速口を付けた。
喉を通っていく冷たさに水分を求めていた身体が喜ぶ。
一気にグラスの半分ほど飲み干して、空になった分を注ぎ足してからポットを冷蔵庫に戻し、グラス一杯分の麦茶を確保してからキッチンと直接通じているリビングへと場所を移した。
冷房を利かせたままの自室に戻った方が今に限っては快適であると分かってはいるけれど、残念ながら自分の部屋にはテレビがない。

 早々にリビングへと辿り着いてソファの生地に身体を沈めれば、真っ先にテーブルの上へと手を伸ばした其処にはエアコンのリモコン。
先ずは部屋に涼しい風を召喚しなければ暑さに倒されてしまう。

 起動ボタンを押して短い機械音が返事をすると同時に流れ出す冷たい風が幸せを感じさせてくれる。
幸せが小さいと言うなかれ。
夏場の涼しい風、それもエアコンが生んだ冷風は砂漠の中で太陽光を反射して水面を煌かせるオアシスと相違ないはずだ。
これで漸く暑さから解放されそうだと手に持っていたエアコンのリモコンを元あったところへ戻そうと、机の上に目をやった私の視界に飛び込んできたものがあった。

 リモコンを置いたことで空いた手を伸ばす。
首を傾げつつも麦茶を味わいながら手に取ったそれは、母親からの手紙。
どうやら出掛ける直前に書き置いていったらしい。
今のご時世、携帯電話という便利機器があるというのに何ともアナログな伝達方法だが、母は大抵置き手紙を用意する人で、いつものことだから気にはならない。
携帯電話が使えないというわけでもないのに、あえて手紙を置いていく手間も母らしいなと思う。
一応言っておくが手紙が嫌いなわけでも、アナログを蔑んでいるわけでもない。
風流で味があるから寧ろ好きだが、こうした家族内連絡はデジタルの方が利点があるだろうと考えているだけだ。
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