爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第5章 悪意 中國山地
兵介は力一杯に肩を動かし、殴ろうとした。しかし、宗房の手は微動だにせず、いつの間にか掴んだ腕も宗房の右手によって引き剥がされ、咄嗟に離された右手が兵介の胸に押し込まれそのまま突き飛ばされた。
前のめりに力を入れていた結果、突き飛ばされてバランスを崩した兵介は尻餅をついた。
「何処の誰かもわからぬ奴に、という所か。なら、それは己を知らなすぎる、山路兵介」
「何をっ!?」
宗房は尻餅をついたまま睨む兵介に一歩近付いた。
「お前は既に、多くの目に晒され、多くの好奇の目がお前達を見ている。ここに度々寄って物思いに耽る事も〈皆〉が当然知っている」
「おかしな事を抜かすな! 誰が! 何の為に! イカれてるっ!」
兵介はひどく興奮し始めていた。宗房はそれをわかっていた。
「〈皆〉がこうしてお前を見ている」
宗房はジャケットの裏に右手を入れてすぐに引き抜き、そのまま兵介に向けた。兵介は一瞬で目が覚めたようだった。宗房の右手には彼が見慣れた物、それに近しい物が握られていた。
「こうやって、な」
右手は兵介の知っている物より一回り小さい銃を握っていた。これが「ライノ」という小型の銃である事を兵介は知らない。