爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第5章 悪意 中國山地
「ここに来て、足を止め、物思いに耽る輩など、大抵は皆同じ事を思う。そして、少なからず悔い、悩み、怒り、虚無に至る。どれもみな、代わり映えしない思索だ」
「つまらない事、とでも言うのか?」
兵介は語気を強めた。宗房には相変わらず抑揚がない。
「常なる事をつまらない、と思うのならばそうだろう。俺にとってはよくある事に過ぎんというだけだ」
「にしても、頭に来るな。勝手に覗くような真似をして」
「それは、どの女の事を覗かれたと思うからだ?」
「何っ!?」
兵介は苛立ちを隠さなくなった。今にも掴みかからんばかりの顔で城井を睨み付けている。
「宇山真綾が凌辱された果てを思うのがやはり恥ずかしいか」
「お前、何様のつもりだっ!」
兵介の激昂は辺り一杯に聞こえた。夜はそれを呑んで行く。宗房は続けて何かを言おうとしない。
「お前に何がわかる!? 俺が何を見て、何を思ったかまでわかったような口をして! ふざけるのも大概にしろ!」
「仮にも愛すると言った女の哀れな姿を平然と思い浮かべる君が俺を罵れるか?」
「思っちゃいない!」
「では何を恐れている? どうして内心を悟られる事を嫌がる?」
「いい加減にしろよ、お前っ!」
兵介は一歩前へ踏み込んだ。そしてその勢いで宗房の所まで小走りに駆けて宗房の胸倉を掴んだ。
「ふざけるなって言ってんだよ、何なんだよ、お前っ! ケンカ売ってんのかっ!」
「やはりな。心を閉ざすか、山路兵介」
「っ!!!」
兵介は胸倉を掴んだ両手から咄嗟(とっさ)に右手を離し、そのまま拳作って振りかぶり宗房の顔面目掛けて投げ込もうとした。だが、宗房は空いている左腕を素早く上げて兵介の肩に左手を開いて押し当てた。肩を止められた兵介は振りかぶったままで、拳は宙に浮いた。
「心に疾(やま)しさの無い者が、心を閉ざすものか。他者に対しての恐れ、嫉み、怒り、憎しみ、卑しき願い、それが無くして何を恐れる」
「それを、お前がどうして言う資格があるっ!?」
「世に立ち、人と関わる者が、どうして覗かれる事を嫌悪し、拒む?」
「そうじゃねえだろうがっ!」