爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第5章 悪意 中國山地
「全体、気を付けっ!」
ザッ、と一斉に音がして、すぐに止んだ。自由闊達な無法者、という認識が成される傭兵達であるが、一糸乱れず顔立ちに義務感の滲んだ男達を見て、山陰陽太政官側用人である三沢実幸(みさわ さねゆき)は思わず息を呑んだ。90名に号令を掛けたのは、元マリ(Mali)軍兵士であったトゥアレグ人(Tuareg)の男である。長年戦ったマリ政府に一度は雇われたものの、互いに奪い合って来た仲であるマリ兵と水を分かち合う気にはなれず、集団蜂起の折に脱走し、紆余曲折を経てこの部隊の副官となった。元々の名前は既に捨て、今は傭兵として「ターリク ヤシーン(Tariq Yacine)」と名乗っている。ターリクはジブラルタルを陥落させた将軍(ウマイヤ朝アラブ帝国)にあやかった者だと三沢は聞いていた。
「諸君、長旅ご苦労であった」
兵舎でのささやかな歓迎の催し、その前準備となる畏まったセレモニーというのが日本人の行動の常であった。兵舎管理を行う官吏と山陰陽の武官達を引き連れて歓迎の儀を執り行い、長旅への労いの弁を述べる将軍亀井無我、そして「同盟国」代表として軍吏の高官達と肩を並べて傭兵達の歓迎に出席した中華ソビエト共和国軍事顧問団陸軍砲兵教導官許國鋒(Xu Guofeng)砲兵少校、副官の女性士官周子珍(Zhou Zizhen)砲兵上尉、そして大坂からは近衛秀国配下の将軍で闘将として勇名を誇っていた三好秀俊と御付として元中華ソビエト共和国軍の将校で現在大坂にある士官学校「豊実館」の顧問を担っている男于龍(Yu Long)、公務のため欠席した宇喜多の代理として三沢実幸が出席しての催しであった。