第1章 Love Triangle
「嘘だろ・・・」
まさか、こんな近くにライバルがいるとは思いもしなかった楽は、無意識で口に出す。
しかし、こんな近くに同士(同性愛者)が居るはずがない、と考えて大和に尋ねた。
「・・・それって、人間としてって事だろ?」
「だったらわざわざ言わないっしょ」
マジかよ。
「・・・男として、好きなのか?」
「やっぱ気持ち悪ぃよな」
"気持ち悪い"
その言葉に、楽は胸が締め付けられる。
自分も、龍之介を男として愛してしまっている。
だから大和の気持ちは痛い程分かるのだ。
「何で好きになった?」
そう問うと、大和は少し顔を赤らめる。
「・・・ちょっとムカつくことあって愚痴った時に、ただ聞いてくれて。挙げ句頭ポンポンしてくれて・・・あの人みんなに優しいから俺だけ特別ってわけじゃないんだろうけど、何か嬉しくてさ。そしたら会う度にちょっとドキドキしたりして」
「乙女かよ・・・」
「本当にな、はは」
照れながら言った大和は、自嘲する。
「それで、あー誰かを好きになるってこういう事なんだなぁと思ったのであります・・・って超恥ずかしいんですけど」
顔を扇いだ大和はビールを飲む。
「そうか・・・けど、お前に龍はやらねぇよ」
「だよな。メンバーが男とどうこうなったら気持ち悪いしな」
「ちげーよ」
「えっ?」
「別に同性愛に偏見はない。俺もそうなんだから」
「は?」
「お前に龍を渡さないって言ったのは、俺も龍が好きだからだ」
楽の告白に、大和は目をパチクリさせる。
「えっ?八乙女も十さんを・・・って、はぁーー!?!?」
「そういう事だ。俺とお前はライバルだ。正々堂々と闘おう」
「ちょい待て、八乙女さん。完全に俺の方が不利だろ」
「まぁそうだな。何てったって俺は同じグループだしな」
楽は不敵の笑みを浮かべた。
「負けが見えてる戦いだ。諦めるなら今のうちだぞ」
大和はことなかれ主義な所がある。楽は、そう言えば諦める気がしていた。が・・・
「ふざけんな。簡単に諦められねぇっつの」
「マジか・・・」
「勝つのは俺だ」
ニヤリと笑う大和。
「・・・負けねぇよ」
2人は、どちらからともなく握手をしたのだった。