第1章 しづ心なく(銀時side)
だけど結局、その次の水曜日も彼女に会いたくなって、定食屋に足を運んだ。
次の水曜日も、その次の水曜日も。
おかしいな、一人の女に会いたいからってどこかに通いつめるようなこと、銀さん今までしたことないんだけど。
懇意にしている太夫が別の男についてるとわかったら、待ちもしないで適当に代わりの女でお茶を濁すこともよくあったしな。
ガキの頃にアイツと指名がカブったときも、確かに相手がアイツだってことにはムカついたけど、女を譲るのは別によかったんだけどな。
まあとにかく。
彼女が先に来ていて、隣が空いていれば、俺が隣に座る。
俺が先に来ている場合は、大抵まだ比較的席が空いている時間帯だから、彼女が俺の隣に座ってくれる。
とりとめもない会話をしているだけだったけれど、彼女と話すのは楽しかった。
あいにく席が空いてないときでも、彼女が勘定を払ったあと俺のところに来てくれて、一言交わしてから帰ることさえあった。