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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第3章 憎悪



「吠え上がれ、マスター!!!」

 アヴェンジャーの猛(たけ)りが、魔力パスを通じて、直接伝わってくる。1対多の時の契約や、仮契約の時には、これほどまでに、アヴェンジャーの高ぶりを感じたことはなかった。でも、今は、こんなにも熱く感じる。もしかして、1対1での契約だから? 私は今、アヴェンジャーと、深く―――――繋がっている?
 だったら、私だって、アヴェンジャーに負けていられない。マスターとして、アヴェンジャーの隣に在る者として!

「殲滅(せんめつ)せよ! アヴェンジャー!!」
 魔術回路を、アヴェンジャーに向けて開くイメージ。アヴェンジャーの炎が、一層激しく燃え盛る。
「イイぞ、マスター!」
 アヴェンジャーが、ターゲットに向かって、飛びかかる。あまりの勢いに、私はほんの一瞬、目を瞑ってしまった。すぐさま目を開ける。アヴェンジャーは、既に数体の敵を燃やしていた。先程にも増して、凄まじい速度だ。さらに空中へ飛び上がり、黒炎を収束させたビームで、敵が密集していた箇所を狙い打った。ビームの命中と同時に、アヴェンジャー本体は、攻撃体勢を取った敵に突撃し、その胸部を鉤爪(かぎづめ)で貫いていた。アヴェンジャーが、連続攻撃を加えている間にも、敵が後方から迫っている。
「アヴェンジャー、後ろ!」
「応ッ!」
 アヴェンジャーは、自らの後方で魔力をスパークさせ、一瞬敵の動きを止めたかと思うと、そのまま後ろ回し蹴りを繰り出し、更に後方にいた敵もろともダウンさせた。ダウンした敵だろうと、スタン状態にある敵だろうと、情け容赦なく追撃を加え、息の根を完全に止めるのが、アヴェンジャー流だ。当然と言えば当然だが、1対1の契約になっても、それは全く変わらない。
「最後だ。」
 アヴェンジャーの声が、辺りに響く。宣言通り、アヴェンジャーは最後の敵の胴体を、鉤爪で八つ裂きにしていた。霧散する、影。

「マスター。一旦戻るぞ。ここは、どうにも良くないようだ。走れるな?」
 アヴェンジャーの声に無言で頷き、その場を後にした。



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