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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第17章 第3部 Ⅲ ※R-18


***

 人の出入りが少ない時間帯を狙って、北の棟へ忍び込む。そこは、やはり外から眺めていた通り、昼間なのに暗く、湿っぽい空間だった。しかも、どこからか、何かが腐ったような、鼻をつく臭いが立ちこめている。およそ、長居したいとは決して思えない、そんな場所だった。しかも、私がいる棟と違って、そもそもの人の出入りも、ほとんど見られないような有様だった。
「―――――う、うぅ……。」
「ぁ、あ―――――」
 どこからか、呻き声のようなものが聞こえる。どうやら、女の人の声だ。声がした方向に、ゆっくりと足を進める。どうやら、複数人の気配を感じる。ゆっくりと、音を立てないように細心の注意を払いながら、襖を開けて、部屋の内部を覗き込む。
「……!?」
 部屋自体は、よくある和室だった。しかし、中は異常だった。畳一面に、それこそ足の踏み場もないほどに、布団が敷き詰められており、そこには大勢の女性たちが横になっていた。しかし、問題はそこじゃない。細い隙間からなので、細かい部分までハッキリ見えるわけではないけれど、女性たちの肌が、どうにもおかしい……?
 小豆ほどの、赤褐色の隆起した発疹が、女性の体にできている。それだけではない。顔や手足に、爪ぐらいの面積がある斑点がある。他の女性も、喉から上顎にかけて、腫れがあったり、さらには黄色っぽい湿疹があったり……、ということは、膿が溜まっている状態なのだろうか? サンソンやナイチンゲール、ダ・ヴィンチであれば、それがどんな状態なのか、すぐに診断できるのだろうが、医療関係の知識に疎い私には、よく分からない。しかし、この光景が決して良いものではないということは、誰がどう考えたって分かる。目の前の女性たちは、間違いなく何かの病気だ。
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