第4章 2人の距離 4
「美味い!」
一口食べてそう言うとホッとしたような。嬉しそうな顔をして、良かった。と笑った由梨も一口目を口に運んでいた。
「いつも自炊してるの?」
「はい。…と言っても日持ちするおつまみとかですが」
初めて来た時に冷蔵庫を勝手に開けた時を思い出した。
「だから酒の種類が豊富なのね」
冷蔵庫には酎ハイやらビールやら。ワインも棚に置いてあったりと一通り揃っていて。
以前から一緒に飲みに行く時もこの人お酒好きなんだなー。と思っていたのでわりと驚かなかった。
「ニノさんも遠慮なくどうぞ」
冷蔵庫まで行き、何か飲みますか?と早速聞いてくるあたりは流石だなと。
お互い好きな酒を手に取り控えめに乾杯をして飲む。
目の前に座っている由梨は美味しそうに飲むので、フフッ。と思わず笑ってしまった。
由梨は酒好きだけど嗜んで飲むタイプで見ていて安心する。
飲んで煽ってくる訳でもないし、悪酔いしたところも見たことがない
「ベロベロに酔った事とかないの?」
「うーん。……楓さんと一度だけ」
中々な興味深い話なので、詳しく教えて。と言うと苦笑いをする由梨
「あんまり覚えてないんですよ。でも。確か気づいたら抱きしめられてました」
「気づいたらって…。詳しく聞いてないの?」
「それがあんまり教えてくれなくて。ただ、もう二度と飲ませ過ぎないし他所でも飲んじゃダメよ!と。」
気になりすぎる。
かといって試してみようなんて今は恐ろしくて考えられないけど。
「へぇー。…何しちゃったんだろうね。楓ちゃん襲われちゃったのかな」
ワザとニヤッと笑いながら言うと少し焦ったような顔をする由梨
ん?どした?と聞くと、実は…。と言い出した
「よく考えたらおかしかったんですよね。楓さんの服が乱れていた気が…」
え…。
一瞬の焦りが見え出した。
もしかして楓ちゃんに既にとっくに先を越されているんじゃないかと。
いやいや、あの人はガチムチの男好きだし。
あーだ、こーだ黙って考えていると、あの…。と少し焦ったような声がした。