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2人の距離

第3章 2人の距離3



へ?と声を出して言うと唇にチュッとリップ音を鳴らしてキスされた

「その気持ちだけでも俺は満たされてるけどね?…それと、ちゃんと分かってるつもりだから。」
由梨のペースに合わせたいんだ。と頭を撫でられた。
そしてそっと私の子宮あたりに手を移動させ軽く触れた。

「此処に命があったんだよ?…簡単じゃないだろ?気持ちが追いつかないのは。」
今度は背中を優しく摩る。
そこにはヒロトに傷つけられた無数の傷跡が薄っすら残っている

「由梨の中に前の彼が残ってるのはしょうがないよ。…俺はそんなことで傷つかないよ。」
和さんの言葉がどんどん心に染み渡ってきて涙が止まらなくなった。
近くにあったティッシュを何枚か取り出し私に手渡す和さん

和さんは感じてたんだ。
私の中のヒロトを。

それでも受け入れてくれてる。
和さんの好きがどんどん大きくなっていく。


それから和さんはまたいつも通りに戻った。
キスもハグも和さんからの方が多くなって、むしろ前より増えたかもしれない。

私の心はそんなことだけで満たされてしまう。





ある日の仕事帰り。

私は会いたくない人に会ってしまった。

その人は待ち伏せしていたかの様に立っていて前より痩せていた。
私は余りの衝撃で視線が合った瞬間足が竦み動けなくなった。


「お疲れ様。随分遅い帰りだね。」
終電近い駅前、人は疎らで私達を気にする人は居ない。

なにも言えないでいると話を続けるヒロト

「随分探したよ。…律儀に住所変更してんだもん。」
どうやって知ったの?と聞きたくても声が出なかった。

それでも震える手で携帯を動かしある人に連絡する
「あ、あの!今すぐ私の最寄駅に!」
そう言って返事も聞かずに切り、もう一度違う人に電話をかけて通話状態にしてポケットにしまった。


「誰に連絡したの?…あぁ、さすがに彼氏でもいるか。でもさー。由梨は俺しか駄目だろ?自分でそれ分かってるんじゃないの?」
私が黙っているとどんどん話が膨らむヒロト

「ねえ、あの置き手紙もさー。ふざけ過ぎじゃない?…分かってるよね?俺には逆らえないって。」
ジリジリにじり寄ってくるヒロト。
後ずさりして距離が縮むのを拒んだ

そして舌打ちをしてはぁ。とため息を吐いた
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