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2人の距離

第3章 2人の距離3



「まぁでも何もないならいいんだ!悪かったな。心配する様な事言って。」
ないとは思うけど気をつけろよ。と言われて電話を切られた。

そして少しあの時の事を思い出し身震いした。
そこにタイミング良くお姉さんから連絡があった。
時間の確認の電話で明るく振舞って電話を切った。

はぁぁ。とため息を吐く。

正直ヒロトを心配してしまっている部分がある。
でも私は心配できる資格ないよね。
ヒロトはきっと私が居なくなって酷く傷ついただろう。

でも、もう後戻りはできない。
私は私の人生があるから。






お母さんとお姉さんとのランチはとても楽しかった。
和さんの学生時代の話や嵐さんになる前の話など。
私の知らない和さんの話を沢山話してもらえた。

「そういえば、由梨ちゃんいつもごめんなさいね。和入り浸ってるんでしょ?」
入り浸ってるという言葉がなんだか面白くて笑ってしまう。

「大丈夫ですよ。お互い好き勝手過ごしてます」
そう言うと、ほんとあの子好き勝手すぎよね〜。と言うお母さん。

確かに和さんは初めて家にきてから今まで好き勝手だ。
ただ、それが結構心地が良い。
和さんに気を使わなくて済むからだ。
それでもお母さんとお姉さんが好き勝手を連呼するので笑ってしまった。


帰り際まで、何か和のことであったら言うのよ!と念を押されたので苦笑いではい。と答えた。


家を出た時の気分とは真逆に私は結構気分が上がって居た。

二宮一家には人の気持ちを持ち上げる力があるのだろうか。




帰り道、ふと輝さんの最後に言った気をつけろという言葉を思い出した。

いるわけないよね?

でも、引っ越したとはいえ、都内は都内。
ヒロトに似ている人を見るだけでビクついてしまう。

小さくため息を尽き足早に家に帰った。



その日から悪夢を見る様になった。

殴られたり、噛まれたり、抓られたり。
かと思ったら抱きしめられたり。
でもそこには温かみはなくて。

ぶるぶる震えながら目が醒めると和さんが丁度仕事から帰ってきて私を見下ろしていた

そしてそっと頭を撫でられた。
ちょっと心配そうな顔をしている。

和さんは輝さんの話を私から聞いてから仕事終わりには必ず直帰する様になった。
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