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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第6章 凌辱 ~前編~


「勿論。お嬢様が望むのならば。」
 そう言って、セバスチャンは私に端末を差し出した。端末のロックは解除されていて、私にもスムーズに操作できる。それにしても、何故端末のロックが解除できるのか。疑問は尽きない。
 適当に、トークアプリを開く。このアプリでやり取りをしていたなら、これで金本マオとあの男の会話の履歴が分かる筈。
「あ……。」
 ビンゴだ。適当に、過去のログから閲覧してみる。
『次、いつ会える?』
『マオがいいなら、いつでもいいよ~』
『どこ行きたい?』
『最近、マオとシてないしなぁ~』
『翔くんのえっち~』
『マオもね』

「……。」
 どうやら、あの男は、ホテルでいた女だけじゃなくて、他にも女がいたらしい。それも、私へ手酷い仕打ちをした、あの3人組の1人だなんて。どんな偶然なんだろう。
「どうなさいましたか?」
「ううん、何でもない。ただ、次に行く場所が、決まっただけ。」
「そうですか。」
「それにしても、何でセバスチャンがあの男の端末の、ロック解除ができたの?」
「あぁ、それでしたら、偵察中にたまたま目にしただけですよ。」
 セバスチャンは、事も無げに答えた。偵察中に?そんなことは可能なのだろうか?
「ふふ。悪魔の視力は、人間のそれとは、比べ物になりませんから。」
「あ、そうなんだ……。」
 セバスチャンのことを、ひとつ知ることができた。でも、今はそれよりも、だ。
「この女の……、金本マオの所へ行きたい。情報収集と……、……ちょっと、遊びたい、の。」
 あの男のことなんて、今の私にとってはどうでもいい。だけど、どうして私があんな目に遭うことになったのか、それが知りたい。それに、この間はほとんどセバスチャン任せで、私は何もしなかった。できなかった。だから、今度は自分の手で、この手で、事を成してみたい……なんていう気持ちもある。
「ふ、ふふ……。」
 興奮で、私の口元から笑いが漏れる。彼女と、どうやって“対話”をしようか。何をしてやろうか。それを想像するだけで、私の中に黒いものが生まれる。この情動は、私の体内を蛇のように這い回る。黒い虫が脳内をカサカサと蠢く。止まらない。きっとこの、渇きにも似た衝動を抑えるためには、欲望のままに行動するしか、道は無いのだと思う。いや、それしか、無い。残されていない。

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