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イケメン戦国〜未来を夢見る〜

第48章 〜




俺が陣営へ戻ると、無言で馬から降りて優良を担いだまま自分の天幕へと戻った。

優良を静かに寝かし、懐から出した手ぬぐいで顔や手に付いていた優良の血や土を拭き落とした。

「ごめんな...優良...守ってやれなくて。本当なら俺がお前を守らなきゃ行けないのに...まさかお前に生かされるなんてな...」

まだ少しだけ温もりが残る手を握りしめて呟いた。

「...お前は女でありながら武士だ。戦場で死ねるなら本望か...?」

答えは返ってこないと分かりながらも、聞かずには居られなかった。

「...お前の武士としての願いを蹴ってでも、俺はお前と生きていきたかった。いや...どうせなら一緒に撃ち抜いてくれれば良かったのになぁ...?優良..」


俺の生きる意味は、信長様に仕えることだ。
信長様の為なら死んでも構わないとすら思っている。
でも心はいつも優良のためにあった。
何をするにも一緒だったのに、俺だけが生き残ってしまった。


「お前が居なくて寂しくなるな...俺も信長様のために尽くして天命を全うしたらお前のところへ行くから...待っててくれな...」

自分でも気が付かないうちに涙がこぼれ落ちた。
俺の目から零れた雫が、優良の綺麗な顔に落ちた。


「.....っ...なんで.....くそっ.......」


本当なら今、戦いが終わって城へ戻って婚約を申し込んでるはずだった。
こんなことになるくらいなら、あの時勿体ぶらずに言ってしまえばよかった。
誰よりも愛してると。俺の妻になって欲しいと。

「...優良...愛してる。ずっとお前を愛してるから、俺と結婚してくれるか...?」

手を握ったまま、もう片方の手で優良の頬を撫でた。


「お前が隣にいないなら...死ぬまで女なんて要らねぇ。お前だけで十分だ。」


2度と開かれない唇に、そっと自分の唇を合わせた。


「...本当ならここで供養するのが常だが、お前は俺が安土へ連れて帰って俺が葬ってやるからな。死んでもそばにいてくれ...」

最後に頬を優しく撫でて、微かに残る温もりを胸に刻み込んでそっと手を離し、優良の両の手を胸の位置で重ねた。

「...よし。ちょっと待っててくれな」


最後に優良の顔を眺めてから静かに天幕でた。




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