第48章 〜
(...クソッ...しくった...)
もう終わった、と思った瞬間にドンッという衝撃と共に優良に馬ごと押されて俺は地面に転がり落ちた。
「...ってぇ.........おい!優良!!」
急いで起き上がり、隣にいたはずの優良を見ると馬から崩れ落ちるのが見えた。
地面に倒れ落ちた優良の胸には、俺を狙って放たれたはずの弓が深く刺さっていた。
「おい!優良!おい!」
駆け寄って肩を揺らすも、優良は息をするのも辛そうだった。
「なんで俺を庇った...」
「秀吉...大丈夫...?」
「...あぁ...俺は...」
俺の無事を確認すると優良は小さく笑った。
「...よかっ...た...」
「待ってろ、すぐ救護を...」
そう言いかけた俺の頬に、そっと優良の手が触れた。
「いい...側にいて...」
「優良...おい!まだ逝くな!!」
「ふふ...ごめん...ね?」
「謝るな...」
「...かっこ...よかったでしょ...?」
「はぁ...?お前こんな時に何言ってんだよ...」
「大事な人...守って死ねるなんて...かっこいいでしょ...」
「ほんとお前は...」
「秀吉.....ありがとう...」
「優良...?おい、優良!!」
声が次第に小さくなり、俺は一言も聞き漏らすまいと優良の顔に耳を近づけた。
「...秀吉...愛してる...ほんとに...愛してた...」
「あぁ、俺もだ。俺も愛してる...」
「...ふふ、知ってる...」
「...くそっ...なんでお前が...」
「私の事はいいから...ちゃんと幸せに生きてね...」
「...無理だ...お前が居ないと...」
「大丈夫...上からちゃんと見守ってる...から...」
「優良...」
「お願い...」
「っ.....」
「...泣かないの...男でしょ...」
「優良...待ってくれ...」
「...秀吉...ありがとう...」
そうか細い声で呟くと、俺が頷いたのを確認して笑顔で優良は目を閉じた。
「つ...優良...!!」
優良の頬に手を添えて温もりを感じた。
まだこんなにも暖かいのにもう優良はピクリとも動かない。
俺はそっと立ち上がると俺に弓を引いた奴を見た。
そいつは弓を放って力尽きたようで既に息絶えていた。