第45章 ~45~
「あ、あった!」
まだ並べられているお目当ての帯飾りを見て安心した。
さっきは人が多くてじっくり見れなかったが、今はたまたまなのか店の前には人が居なかった。
店の前にしゃがみこんで、帯飾りを手に取る。
(……やっぱりこれだな。残っててよかった。)
私がお金を支払おうと、顔を上げると、視線が合った。
「……あれ……」
「……お前……」
(この人……会ったことある気がするんだけど……どこでだっけな……)
私が顔をじっと見つめたまま考え込んでいると、不愉快そうに睨まれた。
「あんまり見つめんじゃねぇよ」
「あ、ごめんなさい……」
「お前、佐助のダチだろ」
「え、なんで佐助くんを……」
そう言いながら、この時代に初めて来た夜の事を思い出した。
「……あ、あの時の……(佐助くんの仲間……)」
「本能寺の近くで会ったろ」
「……えっと確か……幸村……」
「ば、馬鹿かおめーは!」
「……え?」
「こんな所で俺の名前言うんじゃねぇよ」
幸村は急に小声で私に言った。
「俺は安土に視察に来てんだよ」
「あっ……(そっか、織田軍の敵……なんだもんね……)」
私が納得したのがわかると、幸村は溜息をついた。
「まったく……」
「ごめんなさい……。なんて呼べばいいですか?」
「……幸だ。」
「……幸……さん?(幸村とあんまり変わらないじゃん……それで大丈夫なの……)」
「呼び捨てでいい。あと敬語もいらねぇ」
「……じゃあ、幸」
「おう」