第45章 ~45~
桜餅を竹串でひと口分切って口に運ぶ。
「……美味しい……こんな美味しい桜餅初めて食べた……」
「ふふ、喜んでもらえてよかった」
「うん。ありがとう連れてきてくれて」
「どういたしまして」
優鞠と甘味を食べながら、先程市で見た物を思い浮かべる。
「……やっぱりあの最初に見た帯飾りにしようかな」
「あの白い花の?」
「そう。あれが一番可愛かったなぁって」
「そうだね。白い花ならどの着物にも合わせやすいしいいんじゃない?」
「ね。ちょっと戻って買ってきてもいい?」
「一緒に行くよ?」
「ううん。此処で待ってて?すぐ戻るから」
「わかった。いってらっしゃい」
私は抹茶を飲み終えて、さっき来た道を戻った。
(まだ残ってるといいな……今日人が多いから……売り切れてたら嫌だな……)
気持ち足早に市へと戻り、店へと向かった。