第45章 ~45~
優鞠に連れられて、賑やかな市から少し離れた茶屋に来た。
「ここ、初めて来た。」
「まあ、城からも市からも少し離れてるからね。でも、私は安土で一番この店が美味しいと思う」
「へぇ、楽しみ」
私達が長椅子に腰掛けると、お店の中から売り子さんがやって来た。
「いらっしゃい」
「えっと、私はほうじ茶と餡蜜にしようかな。は?」
「えっと……」
壁に貼られたお品書きを眺めるが、種類が多くて悩んでしまう。
初めて来た店だし、売り子さんにおすすめを聞いてみることにした。
「お姉さん、おすすめってありますか?」
「そうですね……今は桜餅かな?」
「じゃあ桜餅と抹茶で」
「はーい」
売り子さんは笑顔で注文を受けると、中へと入っていき、暫くするとお茶と甘味を持って戻ってきた。
「お待たせしました。どうぞ」
「わぁ、美味しそう……」
「ふふ、美味しいじゃなくて、うちの甘味は全部美味しいんです。どうぞごゆっくり」
売り子さんはにっこり笑ってそういうと、奥へと戻っていった。