第44章 〜44〜番外編③
部屋に入って、手直しする着物を広げて作業をしながら、今朝の事を優鞠に話した。
優鞠は所々驚きながら聞いていて、話終えると私を見て言った。
「まあ……に何もなくてよかったよ」
「まあ、口付けはされたけどね……」
「政宗様が許してくれたならいいじゃない」
「まあね」
「ちゃんとお別れ出来て良かったね」
「うん。」
「それにしても、政宗様がの手を引いて部屋に来た時は本当驚いたよ」
「あの時は私もいっぱいいっぱいで……吃驚させてごめん」
「いいの。2人が最終的に笑えててよかった」
「……優鞠は優しいよね」
「え?」
「この時代に来て皆に会えてよかった」
「……」
「もし……私が居るのが違う場所だったら、私は今笑えてなかったかもしれない」
「……………」
「今こうして笑ってられる事がすごい幸せでね。私の周りの人にも笑っててほしい」
「……そうだね」
「私には何も出来ないかもしれない。戦が始まっちゃったら皆の無事を祈るしかできない。でも、戦から離れてる時間くらいは皆に笑っててほしい」
「……なら大丈夫だよ」
「そうかな」
「少なくとも私はが居てくれて嬉しいよ」
「……私も優鞠が居てくれて嬉しいし、いつも助けられてるよ」
「ふふ、それに政宗様も家康も、物腰柔らかくなった気がするよ?」
「……そう?でも……家康が柔らかくなったのは優鞠のお陰でしょ」
「…………まあ、皆の事を大事に思ってるのよ」
「そう……かな?」
「なんだかんだ光秀様もこと気にかけてくださってたんでしょう?そんな人だと思ってなかったもの」
「うーん、からかわれる事の方が多いけど……特に今回は助けられたな……」
「でしょ?皆、が可愛くて仕方ないのよ。が居るだけで笑顔になれるわ」
「……それは大袈裟だよ」
「そうかな?」
「まぁ、そうなら嬉しいけど。」
「ふふ、らしく居ればいいのよ」
「……ありがとう優鞠」
この乱世でも、戦の無い時くらいは皆に笑顔でいて欲しい。
私に出来る事は何でもしたい。
私を受け入れてくれたこの城の皆に少しでも恩返しができればいいなと心で誓って、私は再び縫い物に集中した。